世界で一番難しいゴルフ場はどこでしょうか?
ご意見はいろいろあるでしょうが、最もタフなコースセッティングで知られるUS Open が開催されるゴルフ場は、間違いなくそのうちの一つでしょう。今年2021年は、カリフォルニア州のサンディエゴにあるトーレ・パインズゴルフコースで開かれました。ここは、太平洋をのぞむ美しいコースで、何とサンディエゴに住んでさえいれば日本人でも予約できるパブリック・コースのため、私も何度となくプレーさせていただきました。
このゴルフコース、とにかくタフ。US Openのハードなセッティングでなくとも、私はグリーン周りでウェッジをなくしたことがあります。プロの試合が行われた後だったのですが、それだけラフが長いんです。また、2人乗りの電動カートはフェアウェイを走らないと怒られます。コースの命であるラフを痛めないためです。
とても有名なコースなので、サンディエゴに住んでいたときは実に多くの方から予約を頼まれました。喜んでご一緒させていただくのですが、微妙なのはそれが重要なお客さまのとき。何せ、プレーが“終わるまで”に疲労困ぱい、顔面蒼白、身も心もボロボロになることがわかっているのです。これはプレーしないとわかりません。だいたいからして、過去サンディエゴ近郊に居住しながら何年もプレーしてきた石川遼選手でも、いまだにパーを重ねるのが大変なコースなのですから。
そんなコースでも、意外と崩れない方がいらっしゃいます。それは、スイングの基本ができている方。クセがなく、体に負担をかけずうまくクラブを振りぬくタイプです。そういう方々は、見事にタフな状況に合わせて来ます。効率のよいスイングの標準化、つまり基本ができているので、変化に対応すべくコースに合わせた戦略が立てやすいのだと思います。まるで仕事のプロセスが標準化されていれば、変化に対してさまざまなサービスを提案できるのと似ています。
18番をホールアウトして、「いやー、なかなかタフだったね」と満足顔。そんな方とご一緒するたびに、ゴルフと仕事は実に相通じるものがあるなぁと納得したものです。